【Ⅰ-3】母乳の質や分泌量は成長に伴って変わるのですか
新生児期に出る母乳の質や分泌量は、新生児期以降に分泌される母乳とどのような点が違うのでしょうか。
出産後第1週間以内に出る母乳を初乳といい、その後1~2週間は移行乳、以後は成熟乳になっていきます。初乳は黄色くて粘りがあり、タンパク質やタウリンなど新生児に重要な栄養成分のほか、免疫グロブリンなど抗菌作用のある物質が含まれていて、細菌やウイルスの侵入を防いでくれます。生まれたばかりの赤ちゃんの飲む量が少なくてもいいように、初乳は濃厚な母乳になっています。母乳は欲しがる時に欲しがるだけ飲ませるのが原則なので、新生児では授乳回数が時に10回以上になることもあります。
新生児や乳児は大人より体内の水分量が多くできています。つまり体重あたりの水分量は新生児が80%、乳児は70%、大人は60%ですので、新生児は体重1㎏あたり1日70~80ml、乳児は130~140ml、大人は30~40mlの水分摂取が必要です。母乳の場合、乳児期には1日に6~8回くらいの哺乳でカロリーも水分もうまく摂取できるようになっています。
母乳が十分か不足しているかは、母子手帳の体重増加曲線を基準に体重が標準的に増加していることを確認してください。おしっこの黄色が濃い時は水分不足気味の時です。これも目安にしてください。
母乳が出ない時や与えることができない時には、人工乳の容器や説明書に書いてある通りに飲ませてください。水分量やカロリーは母乳とほとんど同じですので、母乳と同じように飲ませればよいのです。人間をはじめ哺乳動物は母乳を飲ませておくと育つようにできています。