子どもの病気
【Ⅳ-10】朝なかなか起きられません
子どもが朝なかなか起きられず、起立性調節障害といわれました。どうすればいいでしょう。
自律神経には交感神経と副交感神経という互いに反対の働きをする2種類の神経があります。そして、自律神経は全身に分布し、血圧や脈、腸の動きなどが急激に変動しないよう無意識のうちにバランスをとる働きをしています。例えば、血圧が高ければ副交感神経が働いて血管を拡張させ、逆に血圧が低ければ交感神経が働いて血管を収縮させることによって血圧の安定を図るように自動的に調節されています。
しかし、成長が著しい思春期前後には自律神経の調節が一時的にうまくいかず、種々の不定愁訴を伴うことがあり、これを起立性調節障害(OD)といいます。自律神経の調節対象は多岐にわたるため、ODの症状も頭痛や睡眠障害、起床困難、食欲不振、倦怠感、消化器症状(腹痛、嘔吐下痢)など幅広く、個人差がみられます。
ODの頻度は学童の1割前後に上るともいわれます。本人にしかわからない場合も多く、「怠け病」と勘違いされることもありますが、機能障害であることを家族や周囲の人々(学校・友人)も正しく理解することが大切です。
ODは一時的な機能障害で、成長とともにおさまっていきます。軽症の場合は運動制限も不要ですが、強要はせずに本人の自主的判断を尊重します。一方、長びく場合は他に原因がないかどうかについて病院で検査をうけた方がよいでしょう。