【Ⅳ-15】熱が下がっても下痢が続きます
1歳8か月の男児です。高熱で病院を受診して風邪といわれました。翌日に熱は下がりましたが、まだ下痢が続いています。淡い茶色で酸っぱい臭いがする水様便が1日に4~5回出ます。大丈夫でしょうか?
乳幼児が発熱後に下痢をして、それが2~3日続くことはよくあります。原因は消化管へのウイルスや細菌の感染(感染性胃腸炎)がほとんどですが、消化管以外の気道の感染症でも下痢を合併することがあるのは乳幼児の特徴といえます。
急性感染性胃腸炎は原因・病原体によりウイルス性胃腸炎と細菌性腸炎に大別されます。
①ウイルス性胃腸炎
一般に細菌性腸炎に比べて軽症ですが、原因ウイルスによって異なります。特に6か月~2歳頃までの乳幼児が冬場によくかかります。ロタウイルスは強い嘔吐、白色の水様下痢便が頻繁にみられ、脱水のため1~2日入院しなければならないこともあります。
②細菌性腸炎
悪臭のある水様粘血便で鮮血が混入することもあります。熱、腹痛、嘔吐を伴うことも多く、食中毒の時もあります。
治療は細菌性腸炎では抗生物質が必要になりますが、ウイルス性胃腸炎の場合は脱水予防が中心で、食事療法のみです。消化酵素剤は有効ですが、下痢止め(卵や牛乳アレルギーのある人は注意)は原則として使いません。
腸炎では腸粘膜が脱落して乳糖を分解する酵素が出なくなっていますので牛乳は控えてください。経口補水液(ORS)は1回に50ml程度を何度も飲ませてあげてください。飲めないような場合は点滴輸液が必要ですので、すぐに小児科を受診してください。
便のついた紙おむつなどは二重のポリ袋に入れ、家族は手をよく洗い、二次感染が広がらないように気をつけてください。子どものお尻を清潔に保ってあげてください。