京(みやこ)あんしんこども館からの安心・安全アドバイス

【Ⅳ-5】髄膜炎とはどんな病気ですか

予防可能な乳幼児の病気として髄膜炎があると聞きました。どんな病気ですか。

脳を覆う髄膜の中(くも膜下腔)には髄液と呼ばれる液体が流れ、脳を保護しています。くも膜下腔に細菌やウイルスが入り込んで炎症を起こした状態が髄膜炎です。

発熱、頭痛、嘔吐のほか、首や膝が固くなって曲げられない、無理に曲げようとすると抵抗して痛がるといった髄膜刺激症状、けいれん、意識障害などの症状がみられます。特に、2歳未満では頭痛の訴えや髄膜刺激症状はわかりにくく、「ミルクを飲まない、眠ってばかりいる、ぐったりして何となく元気がない、いつもの様子と違う」などといった保護者の訴えが診断のきっかけになることもあります。

髄膜炎にはウイルスによるものと細菌によるものがあり、大きく2つに分けられます。子どもの場合はウイルス性髄膜炎が多く、おたふくかぜのウイルス(ムンプスウイルス)や夏かぜのウイルスが主な原因です。治療は原則として安静にしていることで、入院して点滴を続ければ7~10日位で良くなります。一方細菌性髄膜炎は死亡率5~10%、後遺症発生率約25%(運動・知能発達の遅れ、てんかん、難聴など)で、予後の面から緊急性の高い病気です。欧米ではインフルエンザ菌と肺炎球菌の定期予防接種を行っているため、両菌の髄膜炎はほとんど発生していません。日本でもかつてはインフルエンザ菌と肺炎球菌が原因の7~8割を占めていましたが、2011年1月より公費助成による接種無料化が実施されるようになり、現在では激減しています。